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図T
 
症例@
 
症例A
 
 
症例B
 
症例C-1
 
症例C-2
    △症例C-1は総入れ歯
 
【ヨソ様に気付かれずにすむ審美義歯】
1.はじめに
 インプラントは怖い、歯を削られるのも嫌だという患者さんに対しては、柔軟で弾力性が高いため鉤歯に対する為害性、負担が少なく、半透明であるため装着していることを他人に気付かれずにすむ審美性に優れた審美義歯は、極めて有用な補綴方法である。
2.審美義歯とは
 スーパーポリアミドというナイロンの一種の素材から義歯用新素材として米国バルプラスト社が1956年に開発した義歯で、アメリカではフレキシブルデンチャーと呼ばれている。本邦では審美義歯・メタルフリー義歯・ノンクラスプ義歯などと呼ばれている。
3.審美義歯の利点
(1) 殆どの症例で歯を削らなくてよいのでMinimal Intervention理論に合致する。
(2) 柔軟な弾力性の高い素材(図T)が鉤歯のアンダーカットに入るので、鉤歯に対する負担が極めて小さく、歯の保存に有効である。
(3) メタルクラスプがなく、素材がピンク系の半透明であるため歯肉の色に溶け込み、境目がわかりづらい。したがって義歯を装着していることを気付かれずにすむ。
(4) 軽く、薄く作ることが出来るので装着時の違和感が少ない。
(5) 折れにくく割れにくい。
(6) 使用による劣化が少なく、着脱で弾力性を失わない。
4.審美義歯の適応症
(1) ブリッジは歯を削るので嫌だ。
(2) 歯周病の進行した歯を鉤歯として活用しなければならず、極力長く保存したい(症例@)。
(3) 笑ったときにクラスプが露見するので、義歯を装着していることを悟られて恥ずかしい(症例B、C)。
(4) 使用中の義歯の装着感が悪く、不快である(症例A、C)。
(5) 頻繁に義歯床が割れる。
(6) インプラントは怖い。
5.審美義歯の限界
 上顎を幅広く被覆すると適合は悪くなり義歯床はたわむ。したがって総義歯もしくはそれに準じた症例に審美義歯を適応することはあまりメリットがないと思われる。但し、義歯自体は非常に軽いので、症例によっては非常に喜ばれることもある。(症例C)
6.審美義歯の欠点
 装着後、次第に義歯研磨面の光沢が消失し、粗造感や黒ずみが発見してくるのは、審美義歯素材の有する固有の欠点と推察される。
7.結語
 審美義歯は、大連結子を必要としない維持部と義歯床部さえあればよいコンパクトな欠損症例が最も適応である(症例1)。床面積が大きくなればなる程、適合性は悪くなり義歯は動揺する。審美義歯は所詮義歯である。全く違和感がないというわけではない。患者さんに対しては、固定性ブリッジと比較して云々ではなく、クラスプ義歯と比較しての多くのメリットをインフォームド・コンセントする必要がある。